第二十六章

そう言い放ちながらも、彼は名刺一枚すら残そうとはしなかった。

テアとその一行は完全に無視され、遠ざかっていく彼らの背中をただ呆然と見送るしかなかった。

エミリーの片手は彼にしっかりと握りしめられていた。彼女はたまらず吹き出した。「でっち上げるのがどんどん上手くなっているわね。お屋敷に行きたいだなんて、私、いつ言ったの?」

その言葉にチャールズは歩みを緩め、彼女の指を優しく握り返した。「最近の君は俺よりも忙しいじゃないか。少しぐらい、俺のために時間を作ってくれてもいいだろう?」

エミリーは考え込んだ。確かに最近は仕事に忙殺されており、二人で過ごす時間はめっきり減っていた。だが、ウィンザー...

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